集積回路配置図設計保護条例
 
(2001年4月2日中華人民共和国国務院令第300号公布)
 
第一章 総則
 
第一条 集積回路配置図設計の専有権を保護し、集積回路技術の創造を奨励し、科学技術の発展を促進するため、本条例を制定する。
 
第二条 本条例の以下の用語の意味。
(一)集積回路とは、半導体集積回路、即ち半導体材料からなるチップであって、少なくとも一つの能動素子を有する二つ以上の素子及び一部又は全部を接続する回路がチップの内部又はチップの表面に集積しており、もって一定の電子的機能を有する中間製品又は最終製品をいう。
(二)集積回路配置図設計(以下「配置図設計」という)とは、集積回路のうち少なくとも一つの能動素子を有する二つ以上の素子及び一部若しくは全部を接続する回路の三次元配置又は集積回路を製造するために準備された上述の三次元の配置をいう。
(三)配置図設計権利者とは、本条例の規定に基づき、配置図設計について専有権を有する自然人、法人又はその他の組織をいう。
(四)複製とは、配置図設計又は当該配置図設計を含む集積回路を重複製作する行為をいう。
(五)商業利用とは、商業目的により、保護を受ける配置図設計、当該配置図設計を含む当該集積回路又は当該集積回路を含む物品を輸入、販売又はその他の方式により提供する行為をいう。
 
第三条 中国の自然人、法人又はその他の組織が創作した配置図設計は、本条例に基づき配置図設計専有権を享有する。
外国人が創作した配置図設計であって、最初に中国域内において商業利用に投じられた場合は、本条例に基づき配置図設計専有権を享有する。
外国人の創作した配置図設計は、その創作者の所属国が中国と配置図設計保護に関する協定を締結している場合、又は中国と共に配置図設計の保護に関する国際条約に参加している場合は、本条例に基づき配置図設計専有権を享有する。
 
第四条 保護を受ける配置図設計は、独創性を有しなければならない。即ち、当該配置図設計は創作者自らの知的労働の成果でなくてはならず、かつ当該配置図設計はその創作時に配置図設計の創作者及び集積回路の製造者に公知の通常の設計であってはならない。
保護を受ける通常の設計による組成からなる配置図設計は、その組み合わせ全体が前項規定の条件に合致していなければならない。
 
第五条 本条例の配置図設計に対する保護は、思想、処理過程、操作方法又は数学概念等には及ばない。
 
第六条 国務院知的財産権行政部門は、本条例の規定に基づき、配置図設計専有権に関する管理業務につき責を負う。
 
第二章 配置図設計の専有権
 
第七条 配置図設計権利者は以下の専有権を享有する。
(一)保護を受ける配置図設計の全て又はそのうち独創性を有するいずれかの部分につき複製すること。
(二)保護を受ける配置図設計、当該配置図設計を含む集積回路又は当該集積回路を含む物品を商業利用に投じること。
 
第八条 配置図設計専有権は国務院知的財産権行政部門の登記を経て発生する。
 登記を経ていない配置図設計は、本条例の保護を受けることができない。
 
第九条 配置図設計専有権は、本条例に別段の定のある場合を除き、配置図設計の創作者に属する。
法人又はその他の組織の主宰により、法人又はその他の組織の意思に基づいて創作され、かつ法人又はその他の組織がその責を負う配置図設計は、当該法人又はその他の組織が創作者となる。
自然人の創作した配置図設計は、当該自然人が創作者となる。
 
第十条 二以上の自然人、法人又はその他の組織の合作により創作された配置図設計について、その専有権の帰属は合作者の約定による。約定が作成されていない又は約定が不明である場合には、その専有権は合作者の共同享有とする。
委託を受けて創作された配置図設計について、その専有権の帰属は委託人及び受託人の双方の約定による。約定が作成されていない又は約定が不明である場合には、その専有権は受託人の享有とする。
 
第十一条 委託を受けて創作された配置図設計について、その専有権の帰属は委託人及び受託人の双方の約定による。約定が作成されていない又は約定が不明である場合には、その専有権は受託人の享有とする。
 
第十二条 配置図設計専有権の保護期間は10年とし、配置図設計の登記申請日、又は世界のいずれかの地域において最初に商業利用に投じられた日より起算し、いずれか早い方日を基準とする。但し、登記であるか商業利用への投入であるかに拘らず、配置図設計の創作完成の日より15年が経過した後は、本条例の保護を再び受けることはできない。
 
第十三条 自然人に帰属する配置図設計専有権は、当該自然人が死亡した後は、その専有権は本条例の規定する保護期間内においては、継承法の規定に基づき移転する。
法人又はその他の組織に帰属する配置図設計専有権は、法人又はその他の組織に変更、終了があった後は、その専有権は本条例の規定する保護期間内においては、その権利、義務を承継する法人又はその他の組織が享有する。その権利、義務を承継する法人又はその他の組織がない場合は、当該配置図設計は公有の領域に帰属することとなる。
 
第三章 配置図設計の登記
 
第十四条 国務院知的財産権行政部門は配置図設計の登記業務の責を負い、配置図設計の登記申請を受理する。
 
第十五条 登記申請された配置図設計が国家の安全又は重大な利益に及び、秘密を保持する必要がある場合は、国家の関連規定に基づき処理する。
 
第十六条 配置図設計の登記の申請には、以下のものを提出しなければならない。
(一)配置図設計登記申請表。
(二)配置図設計の複製又は図面。
(三)配置図設計が既に商業利用に投じられている場合は、配置図設計を含む集積回路のサンプルを提出する。
(四)国務院知的財産権行政部門の規程するその他の資料。
 
第十七条 配置図設計が世界のいずれかの地域において最初に商業利用された日より2年以内に、国務院知的財産権行政部門に登記申請を提出していないものについては、国務院知的財産権行政部門は登記を受理しない。
 
第十八条 配置図設計の登記申請が、初歩審査を経ても拒絶の理由が発見されない場合は、国務院知的財産権行政部門は登記を行い、登記証明文書を発行し、かつ公告する。
 
第十九条 配置図設計登記申請人が、国務院知的財産権行政部門の登記申請拒絶の決定に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に、国務院知的財産権行政部門に対し復審を請求することができる。国務院知的財産権行政部門は復審の後、決定を行い、かつ配置図設計の登記申請人に通知する。配置図設計の登記申請人が国務院知的財産権行政部門の復審の決定に依然として不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に起訴することができる。
 
第二十条 配置図設計が登記を受けた後に、国務院知的財産権行政部門が当該登記が本条例の規定に合致しないことを発見した場合は、これを取り消し、配置図設計権利者に通知し、かつ公告しなければならない。配置図設計権利者が国務院知的財産権行政部門の配置図設計登記取消決定に不服があるときは、通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に起訴することができる。
 
第二十一条 配置図設計が公告される前は、国務院知的財産権行政部門の業務人員はその内容について秘密保持の義務を負う。
 
第四章 配置図設計専有権の行使
 
第二十二条 配置図ン計権利者は、その専有権を譲渡又は他人にその配置図設計の使用を許諾することができる。
配置図設計専有権を譲渡するときは、当事者は書面により契約を締結し、かつ国務院知的財産権部門に登記しなければならず、国務院知的財産権行政部門はこれを公告する。配置図設計専有権の譲渡は、登記の日より効力を生ずる。
他人にその配置図設計の使用を許諾するときは、当事者は書面により契約を締結しなければならない。
 
第二十三条 以下の行為は、配置図設計権利者の許諾を得ることなく、その報酬を支払わずに行うことができる。
(一)私的目的又は単純な評価、分析、研究、教育等の目的のため、保護を受ける配置図設計を複製すること。
(二)前項の規定による保護を受ける配置図設計についての評価、分析を基礎として、独創性を有する配置図設計を創作すること。
(三)自らが独立して創作した、他人のものと同一の配置図設計を複製すること又はそれを商業利用に投じること。
 
第二十四条 保護を受ける配置図設計、当該配置図設計を含む集積回路又は当該集積回路を含む物品を、配置図設計権利者又はその許諾を得た者が市場に投入した後は、他人が再び商業利用するにあたり、配置図設計権利者の許可を得ず、かつその報酬を支払わないで行うことができる。
 
第二十五条 国家の緊急事態若しくは非常な状況の発生時又は公共の利益の目的のため又は人民法院、不正競争行為監督検査部門が法により配置図設計権利者に不正競争行為があり、かつ、救済を行う必要があると認定するときは、国務院知的財産権行政部門はその配置図設計の使用に対して非自発的(強制)許諾を与えることができる。
 
第二十六条 国務院知的財産権行政部門が配置図設計の使用についての非自発的(強制)許諾を与える決定を行ったときは、すみやかに配置図設計権利者に通知する。
 
配置図設計に非自発的(強制)使用許諾を与える決定は、非自発的(強制)許諾の理由に基づき、使用する範囲と期間を規定し、その範囲は公共目的による非商業性の使用又は人民法院、不正競争行為監督検査部門が法により配置図設計権利者に不正競争行為があり救済を与える必要があると認める範囲内に限定されなければならない。
非自発的(強制)許諾の理由が消滅し再び発生しないときは、国務院知的財産権行政部門は配置図設計権利者の請求に基づき、審査を経て配置図設計の非自発的(強制)使用許諾を終了する決定を行う。
 
第二十七条 配置図設計の非自発的(強制)使用許諾を取得した自然人、法人又はその他の組織は、独占的使用権を享有せず、又他人に使用を許諾する権利を有さない。
 
第二十八条 配置図設計の非自発的(強制)使用許諾を取得した自然人、法人又はその他の組織は、配置図設計権利者に合理的な報酬を支払わなければならず、その金額は双方の協議による。双方の協議が成立しない場合は、国務院知的財産権行政部門が裁決を行う。
 
第二十九条 配置図設計権利者が国務院知的財産権行政部門の配置図設計使用についての非自発的(強制)許諾の決定に不服がある場合、又は配置図設計権利者、非自発的(強制)許諾を取得した自然人、法人若しくはその他の組織が国務院知的財産権行政部門の配置図設計使用についての非自発的(強制)許諾に関する報酬について行った裁決に不服がある場合は、通知を受領した日から3ヶ月以内に人民法院に起訴することができる。
 
第五章 法的責任
 
第三十条 本条例に別段の定のある場合を除き、配置図設計権利者の許可を経ず、以下に掲げる行為の一のあるときは、その行為者は権利侵害行為を即刻停止し、かつ賠償責任を負わなければならない。
(一)保護を受ける配置図設計の全部又はそのうちの独創性を有するいずれかの部分を複製すること。
(二)商業目的のため、保護を受ける配置図設計、当該配置図設計を含む集積回路、又は当該集積回路を含む物品の輸入、販売又はその他の方式により提供すること。
配置図設計専有権侵害の賠償額は、侵害した者の取得した利益又は侵害された者の受けた損失とし、侵害された者が侵害行為の制止のために支出した合理的な費用を含む。
 
第三十一条 配置図設計権利者の許可を経ず、その配置図設計を使用し、配置図設計専有権を侵害し、紛争が発生した場合、当事者の協議により解決する。協議を望まない場合又は協議が一致に達しない場合は、配置図設計権利者又は利害関係者は人民法院に起訴することができ、又国務院知的財産権行政部門に処理を請求することもできる。国務院知的財産権行政部門が処理を行い、侵害行為の成立を認定した場合は、権利侵害者に即刻侵害行為を停止するよう命令じ、権利侵害製品又は物品を没収、廃棄することができる。当事者は不服があるときは、通知を受領した日から15日以内に「中華人民共和国行政訴訟法」に基づき人民法院に起訴することができる。侵害した者が期限を満了しても起訴せずかつ権利侵害行為を停止しない場合は、国務院知的財産権行政部門は人民法院に対し強制執行を請求することができる。当事者の請求により、国務院知的財産権行政部門は侵害された配置図設計専有権の賠償額の調停を行うことができる。調停が成立しない場合は、当事者は「中華人民共和国民事訴訟法」に基づき人民法院に起訴することができる。
 
第三十二条 配置図設計権利者又は利害関係人に、他人がその専有権を侵害する行為を行っている又は将に行おうとしていることを証明する証拠を有しており、すみやかに制止しなければその合法的権益に補うことが困難な損害を被る虞がある場合は、起訴前に法により人民法院に対し関連行為の停止及び財産の保全措置を命じるよう申請することができる。
 
第三十三条 保護を受ける配置図設計を含む集積回路又は当該集積回路を含む物品を取得した場合において、その中に非法に複製された配置図設計が含まれることを知らず又は知り得べき合理的な理由もなくそれを商業利用に投じたときは、権利侵害とみなさない。
前項の行為者はその中に非法に複製された配置図設計が含まれるという明確な通知を受領した後は、現有の在庫商品又はこれより以前に注文された商品については引き続き商業利用に投じることができるが、その場合には、配置図設計権利者に対して合理的な報酬を支払わなければならない。
 
第三十四条 国務院知的財産権行政部門の業務人員に、配置図設計の管理業務中に職務怠慢、職権濫用、私利不正があり、犯罪を構成することがあった場合は、法により刑事責任を追及する。犯罪行為を構成しない場合は、法により行政処分を与える。
 
第六章 附則
 
第三十五条 配置図設計の登記及びその他の手続の処理には、規定に基づき費用を納めなければならない。支払い費用の基準は国務院物価主管部門、国務院知的財産権行政部門により制定され、かつ国務院知的財産権行政部門より公告される。
 
第三十六条 本条例は2001年10月1日より施行する。 
 

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